文化財・保護・管理

国指定の重要文化財 廻船船主・内田家をフル3Dスキャニング

愛知県知多半島の先端、南知多町にはかつて尾州廻船内海船で名を馳せた「内田家」があり、代々の当主が事業と生活の拠点としたお屋敷が今なお建築当時の趣をそのまま残して現存しています。南知多町が現内田家当主からお屋敷を譲り受け、保護・管理しつつ、2008年には国の重要文化財指定を受けています。そして現在は、週末に限り公開されています。

 

 

明治初期に建てられたお屋敷で、明治期の当主「左七家」と娘婿「左平次家」の2棟および庭園、複数の蔵で成り立っています。廻船船主の屋敷としては現存する数少ない遺構であり、まさに国の重要文化財の名に相応しい佇まいと格式を誇っています。

 

修復時に、従来方式の測量を行い、図面化された2次元データはあるものの、三次元データはないとのことで、デモンストレーションとしての3次元データ化を提案。この度のフル3Dスキャニングの実施となりました。

 

 

非公開時の平日に行い、「RTC360」&「BLK360」の2機のレーザースキャナーを用いて、わずか2日で完了。屋根の測定には、7m三脚を導入。吹き抜けの空間に張り巡らされた梁や柱、そして瓦屋根も含めて、ほぼ完璧にスキャニングすることができました。

 

 

そして3次元点群データをもとに、メッシュ化、BIM化、デジタルツイン化、XR化など様々なモデリングを行えば、その活用範囲は無限大に広がることも、サンプルの成果物として提示。その結果、南知多町の職員の皆さんの意識を触発することにも繋がり、デモンストレーションとして大いに意義ある試みとなりました。

 

点群データ(俯瞰)

 

点群データ(内観)

 

 
今後も今回の点群データおよびモデリングデータを、どう活かしていくか?を考えながら、南知多町の大切な観光資源である「内田家」の価値を高め、維持するサポートをしていければ、と考えています。

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